2009 八重山群島巡り1日目

 

 某月某日、しばらく旅に出ていないので、旅に出ることにする。
旅に出ていないと云うことが、旅に出る要因になるのだから脳天気なものである。

 ついつい羽田第一ターミナルが全日空と共同で使っていた時の感覚で、日航の石垣直行は20番スポット以降だろうと思い、そちら側から出発ロビーに入ったら、1番スポットだった…。
出発時間が迫っていたので、端から端へ急いで移動する。 アムステルダムの空港ほどじゃないけれど、結構遠いな!

 離陸して雲の上に出ると、日の出。
日記を書く

 

 8:25、上り便の日航機とすれ違う。
上空を飛んでいる時はスピードを感じないが、すれ違ったスピードを見て「すごく早い!」と思った。

 隣席の初老の方が落ち着かなくてイライラする。
話してみると、初めての石垣島であり、そこでマラソン大会に参加するとのこと。
「観光ですか?」と訊かれたので、「いえ、勉強です」と答える。
「よいところを教えてください」と言われたので、「何に興味がありますか?」と訊くと「お勧めのところをお願いします」と答えられるが、あたしのお勧めはややマニアックで事前学習のしていない方には不適当。 歴史や民俗・民話・神話・信仰・生物・探検及び作品作製のための資料集めに偏っていますゆえに、旅行ガイドしか読んでこないおおよその人がなにを求めて旅行や旅をするのかが理解できないのです。 仕方ないので、観光ガイド付き周遊バスツアーをお勧めしときました。 あたしもいつか乗ってみたいと思っています

 

 空港を出たら、バスに乗って離島ターミナルまで行く。 小雨がぱらついているので、折り畳み傘を出す。
必要のない荷物をコインロッカーに預け、小浜島までの往復切符をJAL観光券と交換する。 出発の時間まで小一時間あるので、明日泊まる宿を探しながら町の中を歩く。 そういえば、石垣島以外の八重山の方たちは、四箇のことを「町」と言う。
風がなかなか強い。 折り畳み傘の骨組みが壊れそうである。
出港10分前にターミナルに戻って、売店でお弁当と飲み物を買う

 

 客、あたしを含めて2人。
港を出ると波が立っていて、ゴンゴンと振動がある。 それは「船、折れないかしら…」と心配になるほど

 

 30分後、小浜島に着いたはいいが、雨、強風。
「まいったなぁ」と言うことで、連絡船乗り場の待合室でお弁当を食べる。
250円弁当。 ちょっと物足りないが、これから歩くことを考えると、このくらいの方がよい

 

 

 食べ終えると小降りになってきていたので、島を反時計回りに一周すべく歩き出す。
さとうきび畑の中をゆるゆると坂を上ってゆく

 

 

 

振り返ると港の向こうに長い砂浜が見える

 

 歩き出して10分もすると雨が強くなってきたので、傘を広げる。
風邪が強くて、傘を差して進むのが大変。 このまま風上のこの道を進むのは無理と思い、大岳前の道を左に折れる。 こちらに行けば、集落に着くはず。 集落は風よけがあるはず。
 畦と雨はほぼ水平に吹いているので、風上のみ濡れる。
フィルム交換の際は、風邪に背を向けると、カメラもフィルムも濡れない。
そのフィルム交換を、牧場の牛がじーっと見ていました

 

 

 集落の家々は、思っていたよりいい感じの家が残っている。
天候のよい時に、改めて訪れたい。
村を抜けると、山羊が見送ってくれていた

 

ヤエヤマヒルギの群落を見に行きます

 

 防波堤の向こうに、その群落はあった。
防波堤があっては、やがてこの群落は失われるのではなかろうか。 養土の補充がなされないでしょう。

 風邪が強く、帽子が飛ばされそうである。 あたしの向こうの山は、西表島。
オカガニがあたしを見つけ、威嚇する

 

 マングローブ林を後にして、細崎(くばざき)に向かう。
石西礁湖の中だが、一応 右が東シナ海で、左が太平洋。 正面の島は西表島。
 細崎に続く電線が強風にあおられて、びゅんびゅんと音を立てていて恐い。
もし切れてあたしに当たったら、感電死しそう。 と言うか、当たっただけで皮膚が裂けそうだ。
 島の1/3を歩いて思ったのは、森がないと云うこと。
ほとんどがさとうきび畑に変えられている。(集落周辺に田圃あり)
そのせいもあり、風を遮るモノがなく強風が吹く。
水道と電気は西表島からだろうか。 ゴミは船で石垣島まで運んでいるっぽい。
 歩いていると、先ほど濡れた服が乾いてくる。 下着は発熱仕様の化繊なので、濡れても全然冷たくならない

 

 細崎に着きました。
そこには住民のほとんどがウミンチュ(海人=漁師)の集落があり、浜辺がありました。
この西表島との狭い水路には、マンタが現れます。
潮流が速く、自分の腕でどのくらいの時間と体力を使うか考える。
流されちゃうことを考えたら、ヒヤッとしました。
 浜辺を歩き、なにか面白いモノが漂着していないか探す。
なんも見つからず。 ただ田中一村の素描にあったようなエビの殻のみ

 

 

 

  道路の一番先には「海人公園」。
 マンタの展望台が造られていました

 

 道路の先を覗いてみると、素敵な砂浜が続いていました。
そこには魚垣(ながき)があることを知り、目を凝らしましたが見えません。
魚垣は、海の中に垣を築き、干潮時にその中に取り残された魚を捕る漁法の為に造られました。
宮古群島の下地島にあるモノが有名です 

 

 

 素敵なデザインでございます

 さて戻ります。
一本道なので、同じ道をUターンです。
反対から見ても電線が恐い


 

 なにやら怪しい道を発見です

 

樹木のトンネルを抜けると、海岸でした


ウニの骨格

 

 

 魚垣のある浜辺を見た後、雨が降ってきました。
最初は小雨だったものがやがて本降りになり、ほとんど台風状態です。
強風のために、傘が使えません。
「しまった〜、レインウェアを持ってくるのだったぁ〜。 と云うか、替えのズボンさえ持ってきていないぞ!」と、自身の準備の甘さを反省しつつ、フィルムをビニール袋に詰め、カメラを鞄に入れる。
カメラは結構びしょびしょ。 ホテルに着いたら、よく乾燥させなくちゃと思いつつ地図を見ようと広げたら、地図がポケットの中で溶けていました…。
と言うわけで、現在位置不明。
馬に心配される

 

 

 すでに全身びしょぬれ。
眼鏡で来たので、眼鏡もびしょぬれで視界不良。(コンタクトレンズを元旦に割ってしまったのですね)
 さすがに冷えてきて、「凍死するかも…」と生命の危機を感じる。
以前、久米島から高速船(今はない)に乗って那覇に向かった時、濡れたままの水着で乗ったらクーラーがガンガン効いていて凍死しそうになった時以来の「沖縄で凍死の危機」。
人も通らないので、道を尋ねることもできず、ただ脳内GPSに従って港を目指す

 

 なんとか港にたどり着いたら、まずトイレに行きトイレットペーパーで眼鏡を拭く。 あ〜、やっと見えるようになった…。 見えるって素晴らしい。
10分程待ち船に乗る。
 全身びしょびしょなので座席を濡らしたら悪いと思い、後部のプラスチックの座席に陣取っていたら「危ないから、船室に入って」と言われる。
客、あたしを含めて2人。
波どぱーん状態で、石垣港に向かう。 行きより激しくなっている。
 なんだか寒気がして、頭痛もする。 熱があるみたいだ

 石垣島に着いたらコインロッカーから荷を取り出し、コンビニに行って夕ご飯を買う。
当初は予約してあるホテルまで歩くつもりだったが、雨な上、体調が悪いのでタクシーをつかまえる。
具合が悪いのでぐったりしていたのだが、運ちゃんが陽気なおじさんで、色々と石垣島クイズを出してきて付き合わされる。 ホテルに到着しても、話が終わらなくてなかなか降ろしてくれないくらいだ。
 ホテルは新しく、設備がよい。 各種除湿器が揃っていたので、みんな強力除湿にする。 濡れた服をハンガーに掛ける。
シャワーを浴び、浴衣になる。 湯を沸かして、お茶とミルクティを飲む。 ごはんを半分食べて、薬を飲んで、ひとまず眠ることにする。 ぐわんぐわんする頭で「薬は持ってくるのに、着替えや雨具を持ってこないとはなんたることか…」と考える。
 夜中に起きて、ホテルのコインランドリーに行き、洗濯をする。 待っている間にごはんの残りを平らげる
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